五十肩の患者さんからよく聞かれる質問が「ロキソニンは効きますか?」というものです。

確かに効果はありますが、「万能薬」ではありません。ロキソニンが役に立つ時期と、それだけでは足りない時期があります。

本記事では、帝都メディカルクリニック(東京都足立区西新井)の藤田医師の診療方針に沿って、ロキソニンの効果と限界、飲むときの注意点、そして薬だけで良くならないときに必要な治療を解説します。

結論:ロキソニンは五十肩の初期の炎症による痛みには役立ちますが、肩が固まる拘縮には効きません。2〜4週間飲んでも痛みが続くなら、注射とリハビリへの切り替えを考える時期です。
※本記事は一般的な医療情報を提供するものであり、診断・治療方針は患者さんの状態によって異なります。気になる症状がある方は、必ず担当医とご相談ください。

1. ロキソニンは五十肩の痛みにどう効くのか?

五十肩(肩関節周囲炎)は、関節包や腱板の炎症によって突然の痛みや可動域制限が生じる疾患です。「洗濯物を干そうとしたら急に痛くなった」という訴えが典型的です。

ロキソニン(ロキソプロフェンナトリウム水和物)は、炎症を引き起こすプロスタグランジンという物質がつくられるのを抑える、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)です。

初期の炎症による痛みには一定の効果がありますが、製薬会社のデータによれば、肩の痛みへの有効率は約57.4%とされています 1)。飲めば必ず痛みが消える薬ではない、ということです。

五十肩の時期によって、ロキソニンの役立ち方は変わります

五十肩は、炎症が強い「急性期」、肩が固まる「慢性期(拘縮期)」、動きが戻っていく「回復期」と段階を追って進みます。ロキソニンが主に役立つのは、炎症が強い急性期です。

時期 主な症状 ロキソニンの役立ち方 あわせて考えたい治療
急性期 じっとしていても痛い、夜間痛が強い 炎症と痛みを和らげる助けになる 注射で強い痛みを抑える、安静
慢性期(拘縮期) 痛みより「動かない」ことが中心 固まった肩を動かす効果はない リハビリ、ハイドロリリースなどの注射
回復期 少しずつ動きが戻る 運動後の痛みに一時的に使う程度 可動域訓練、筋力トレーニング

2. ロキソニンを飲むときに気をつけることは?

NSAIDsを長く飲み続けると、胃や腸を傷める副作用が起こることがあります。特に次の方は注意が必要です。

注意点
  • 胃・十二指腸潰瘍になったことがある方
  • 高齢者(特に75歳以上)
  • 複数の薬を服用している方
  • 血液をサラサラにする薬(抗血小板薬など)やステロイド剤を飲んでいる方
  • 腎臓の機能が低下していると言われたことがある方

これらに当てはまる方は、胃の粘膜を守る薬を一緒に使うことが勧められます。

また、「食後に飲む」「水をたっぷり飲む」といった基本的な注意点も忘れないようにしましょう。

3. ロキソニンだけでは不十分なのはどんなときか?

診療の現場では、次のようなケースでロキソニンだけの治療には限界があります。

ロキソニンだけでは足りないケース
  • 夜間痛が強い場合:睡眠が大きく妨げられている場合は、注射など痛みの元に直接届く治療が必要です
  • 拘縮期に入っている場合:痛みより動きの制限が中心の場合、薬だけでは改善しません
  • 糖尿病など持病がある方:治りが遅い傾向があり、いくつかの治療を組み合わせる必要があります
  • 長引いている場合:組織の癒着や、かばう動きによる筋肉のこわばりには、注射とリハビリの組み合わせが欠かせません

また、腕を上げる力が入らない場合は、五十肩ではなく腱板断裂の可能性もあります。症状が似ているため、薬で様子を見続ける前に一度診察を受けることをおすすめします。

「ロキソニンだけ」と「注射+リハビリ」の違い

  • ロキソニンだけ:その場の痛みは和らぐが、炎症の元や肩の固まりは残るため、薬が切れると痛みが戻り、拘縮が進むことがある
  • 注射+リハビリ:注射で肩の奥の炎症と痛みを抑え、痛みが落ち着いている間にリハビリで動きを取り戻すため、回復までの期間の短縮が期待できる

4. 薬で良くならないとき、どんな治療があるのか?

当院では、薬だけに頼らず、注射とリハビリを組み合わせた治療を行っています。

注射療法

超音波(エコー)で針の位置を確認しながら、肩の痛みの元に正確に薬を届けます。症状によっては、劇的に痛みが和らぐケースも少なくありません。

ステロイド注射、ヒアルロン酸注射、神経ブロック注射などを症状に応じて選びます。

徒手療法

肩甲骨まわりの筋肉へのマッサージや関節モビライゼーションなどで、肩の動きを改善します。研究でも、適切な理学療法が痛み・可動域・機能の改善に有効であることが報告されています 2)。

段階的運動療法

「痛いから動かさない」「動かさないから固まる」という悪循環を断ち切るため、時期に合った運動プログラムが大切です。

痛みが強い時期は「振り子運動」などの軽い運動から始め、徐々に「タオルストレッチ」「自動介助運動」へと進めていきます。

5. 日常生活でできる対策は?

薬の上手な使い方:ロキソニンは「つらい時期を乗り切るための一時的な杖」と考えましょう。痛みが強くなる時間帯の前(多くは就寝前)に、医師の指示の範囲で計画的に飲むと効果的です。

温める・冷やす:急性期は冷やし、慢性期は温めるのが基本ですが、実際には「どちらが心地よいか」で選ぶのがよいでしょう。多くの場合、入浴で温めると症状が和らぎます。

枕の高さの調整:高すぎる枕は肩に負担をかけます。横向きで寝る場合は、肩が圧迫されない高さの枕を選びましょう。

早めの受診:「様子を見よう」と放置せず、痛みが2週間以上続く場合や、日常生活に支障がある場合は、早めに医療機関を受診してください。

五十肩を放っておいた場合の経過については、五十肩を放置するリスクの記事で詳しく解説しています。

6. すぐに受診すべき肩の痛みのサインは?(緊急サイン)

次のような症状がある場合は、五十肩以外の病気(骨折・脱臼・感染・腱板断裂など)が隠れている可能性があります。

  • 転倒や強い衝撃のあとに、急に腕が上がらなくなった
  • 肩が赤く腫れて熱を持ち、発熱を伴っている
  • 腕や手に力が入らない、しびれが急に強くなった
  • ロキソニンを飲んでも、安静にしていても痛みが増していく
  • 黒い便が出る、胃の強い痛みがある(薬の副作用の可能性)

これらに当てはまる場合は、「様子を見る」のではなく、その日のうちに医療機関を受診してください。

よくある質問(FAQ)

Q. ロキソニンを飲み続けても大丈夫ですか?

ロキソニンは胃への負担や腎機能への影響があるため、長く飲み続けることは勧められません。痛みが続く場合は自己判断で飲み続けず、医師に相談して治療方針を見直すことが大切です。

Q. ロキソニンが効かない場合、次の選択肢は何ですか?

ロキソニンで十分な効果が得られない場合は、注射治療(ステロイド注射・ヒアルロン酸注射・神経ブロックなど)が選択肢になります。飲み薬と違って痛みの元に直接届くため、より速やかな痛みの緩和が期待できます。

Q. 市販のロキソニンと病院で出されるロキソニンは違いますか?

同じ成分(ロキソプロフェン)の薬が、処方薬と市販薬の両方にあります。市販薬は手軽に使える反面、胃腸障害などの副作用のリスクは処方薬と変わりません。市販薬を数日使っても良くならない場合は、飲み続けずに受診してください。

Q. 五十肩の痛みにはどんな注射が使われますか?

五十肩(肩関節周囲炎)には、ステロイド注射(炎症を抑える)、ヒアルロン酸注射(関節の動きを滑らかにする)、神経ブロック注射(痛みの伝わりを抑える)などが使われます。症状や炎症の程度によって最適な注射が異なります。

Q. 注射治療に切り替えるタイミングはいつですか?

ロキソニンなどの飲み薬を2〜4週間使っても痛みが改善しない場合、または夜間痛がひどく眠れない場合は、注射治療への切り替えを考えるタイミングです。早めに受診することで、回復が早まる可能性があります。

Q. 湿布とロキソニンは一緒に使ってもいいですか?

湿布にもロキソニンと同じ種類の痛み止めの成分が入っているものがあります。重ねて使うと成分が重なることがあるため、併用する場合は医師や薬剤師に確認してください。

Q. 痛みがおさまったら、ロキソニンはやめていいですか?

痛み止めとして使っている場合は、痛みが和らいだら減らしたり、やめたりするのが基本です。ただし、痛みが引いても肩が固まっていることがあるため、動かしにくさが残る場合はリハビリを続けることが大切です。

Q. 糖尿病がありますが、五十肩の治療は受けられますか?

受けられます。糖尿病の方は五十肩が長引きやすい傾向があります。ステロイド注射は血糖値に影響することがあるため、受診の際は糖尿病の治療状況(服薬・インスリン治療など)をお知らせください。

足立区・西新井エリアで五十肩にお困りの方へ

帝都メディカルクリニックは、東武スカイツリーライン「西新井駅」より徒歩1分の場所にあります。足立区はもちろん、北千住・綾瀬・草加方面からも多くの患者さんにご来院いただいています。

  • 所在地:東京都足立区西新井
  • アクセス:西新井駅 徒歩1分
  • 電話:03-3889-1371
  • 診療時間:診療時間内のお電話に加え、24時間Web予約をご利用いただけます

「ロキソニンを飲んでも肩の痛みが取れない」「夜も痛くて眠れない」という方は、一度ご相談ください。

まとめ

五十肩は多くが良くなる病気ですが、適切な治療とセルフケアで回復までの期間に大きな差が出ます。

ロキソニンは急性期の痛みを和らげる有用な選択肢の一つですが、肩の固まりを治す薬ではありません。薬で痛みが取れないときは、注射とリハビリを組み合わせて、早めに痛みを抑え、肩の動きを取り戻すことを目指しましょう。

※本記事は一般的な医療情報を提供するものであり、診断・治療方針は患者さんの状態によって異なります。気になる症状がある方は、必ず担当医とご相談ください。

1)KEGG MEDICUS: JAPIC医療用医薬品集「ロキソニン錠60mg(一般名:ロキソプロフェンナトリウム水和物)添付文書」
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00057032

2)Chan HBY, Pua PY, How CH. Physical therapy in the management of frozen shoulder. Singapore Med J. 2017;58(12):685-689. doi:10.11622/smedj.2017107.