テニス肘(上腕骨外側上顆炎)とゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)は、肘の外側または内側にある腱の付け根に小さな傷みが積み重なり、物をつかむ・ひねる・持ち上げるといった動作で痛みが出る疾患です。名前にスポーツの名がついていますが、実際には家事・パソコン作業・工具を使う仕事など、手首を繰り返し使う方に広く起こります。

多くは安静・ストレッチ・湿布や痛み止めといった保存療法で数ヶ月のうちに落ち着きますが、半年以上痛みが続く、注射で一時的に良くなってもぶり返す、という方も少なくありません。長引く肘の痛みでは、腱の「炎症」だけでなく「修復が追いつかない変性」が問題になっているためです。

帝都メディカルクリニック(東京都足立区西新井)では、藤田医師が、長引くテニス肘・ゴルフ肘に対して、ご自身の血液から作るPFC-FD療法と国家資格を持つスタッフによるマンツーマンリハビリを組み合わせた治療を行っています。本記事では、テニス肘・ゴルフ肘の正体、保存療法で改善しにくい理由、PFC-FD療法の仕組みと治療の流れを医師の視点で解説します。

結論:半年以上続くテニス肘・ゴルフ肘には、腱の修復を促すPFC-FD療法とリハビリを組み合わせた保存療法が、手術の前に検討できる選択肢になります。
※本記事は一般的な医療情報を提供するものであり、診断・治療方針は患者さんの状態によって異なります。気になる症状がある方は、必ず担当医とご相談ください。

1. テニス肘・ゴルフ肘とは?肘の外側と内側、どこが痛むのか

肘の骨(上腕骨)の外側の出っ張りを「外側上顆」、内側の出っ張りを「内側上顆」と呼びます。ここには手首や指を動かす筋肉の腱がまとめて付着しており、手首を繰り返し使うことで腱の付け根に微細な損傷が蓄積します。

テニス肘(上腕骨外側上顆炎):肘の外側が痛む

手首を反らす筋肉(主に短橈側手根伸筋)の腱の付け根が傷んだ状態です。30〜50代に多く、テニスのバックハンドだけでなく、フライパンを持つ・雑巾を絞る・マウスを長時間使うといった動作で発症します。

ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎):肘の内側が痛む

手首を曲げる筋肉や前腕を内側にひねる筋肉の腱の付け根が傷んだ状態です。ゴルフのスイングのほか、重い物を持ち上げる作業、ハンマーやドライバーを使う仕事で起こりやすく、テニス肘に比べると頻度は少なめです。

こんな動作で痛みが出ます

  • ペットボトルのふたを開ける、ドアノブを回す
  • フライパンやポット、買い物袋を持ち上げる
  • 雑巾やタオルを絞る
  • パソコンのキーボードやマウスを長時間使う
  • 握手や物をつかむ動作で肘の外側(または内側)に痛みが走る

安静時にはあまり痛まず、使ったときだけ痛むのが典型的です。悪化すると、じっとしていても肘に鈍い痛みが残るようになります。


2. テニス肘・ゴルフ肘かどうか、どう見分ける?セルフチェック

以下の項目に当てはまる場合、テニス肘またはゴルフ肘の可能性があります。

こんな症状はありませんか?
  1. 肘の外側(または内側)の骨の出っ張りを押すと痛い
  2. 物をつかんで持ち上げると肘に痛みが走る
  3. 手首を反らす(または曲げる)動きに抵抗をかけると肘が痛む
  4. タオルを絞る、ドアノブを回す動作がつらい
  5. 痛みが出てから1ヶ月以上たっても改善しない
  6. 手首を繰り返し使う仕事・家事・スポーツをしている

医療機関では、肘を伸ばした状態で手首を反らす方向に抵抗をかけるテスト(トムセンテスト)や、椅子を持ち上げるテスト(チェアテスト)などで痛みの再現を確認し、診断の手がかりにします。


3. なぜ湿布・痛み止め・安静だけでは治りにくいことがあるのか?

テニス肘・ゴルフ肘は、発症から数ヶ月以内であれば、安静・ストレッチ・湿布や痛み止め・肘のバンド(エルボーバンド)といった保存療法で改善する方が多い疾患です。それでも一定の割合で、半年から1年以上痛みが続くケースがあります。

長引く痛みの正体は「炎症」ではなく「腱の変性」

発症直後は腱の付け根に炎症が起きていますが、長引いた状態では炎症そのものは目立たなくなり、代わりに傷んだ腱の組織が十分に修復されないまま残っています。この状態では、炎症を抑える湿布や痛み止めの効きが悪くなります。

ステロイド注射は短期的には効くが、ぶり返しやすい

肘の痛みに対して広く行われるステロイド注射は、数週間の痛みの軽減には優れていますが、長期的にみると再発しやすいことが複数の研究で報告されています。繰り返し打つと腱そのものが弱くなる懸念もあるため、回数には注意が必要です。

早期に適切な治療を始めるメリット

  • 痛みをかばう期間が短くなり、肩や手首への二次的な負担を防げる
  • 仕事・家事・スポーツへの復帰が早まる
  • 腱の変性が進んで治りにくくなる前に手を打てる
  • 手術を検討する段階に至る可能性を下げられる

4. PFC-FD療法はテニス肘・ゴルフ肘にどう効くのか?

PFC-FD療法は、患者さんご自身の血液から「成長因子」を抽出・濃縮し、傷んだ腱の付け根に注射する再生医療の一種です。当院ではテニス肘・ゴルフ肘をはじめ、五十肩や足底腱膜炎などの腱の障害にもPFC-FD療法をご提案しています。

効果の仕組み

  1. 腱の修復を促す:成長因子が傷んだ腱の細胞に働きかけ、組織の再生を後押しします
  2. 「抑える」のではなく「治す」方向に働く:炎症を一時的に抑える薬とは異なり、修復が追いつかない腱そのものにアプローチします
  3. 自分の血液なので拒絶反応のリスクが低い:アレルギーや感染症のリスクを抑えられます

肘の痛みに対する主な治療法の比較

治療法 主な目的 特徴
湿布・痛み止め・エルボーバンド 痛みの緩和・負担の軽減 発症初期に有効。長引く痛みには効きにくい
ステロイド注射 強い抗炎症 短期の即効性は高いが再発しやすく、回数に制限がある
PFC-FD療法 腱の修復促進 効果はゆっくり現れるが持続が期待できる。自費診療
リハビリ(運動療法) 腱への負担の是正・再発予防 どの治療とも組み合わせる土台になる
手術 傷んだ腱の切除・修復 保存療法で改善しない難治例に限られる

効果が出るまでの期間と持続

PFC-FD療法は即効性のある治療ではなく、注射後1週間から数ヶ月かけて徐々に痛みの軽減を実感される方が多い治療です。効果の持続期間には個人差がありますが、半年から1年程度続くことが報告されています。

ただし、腱の傷み方や生活習慣によっては効果を感じにくいこともあります。適応があるかどうかは、診察の上でご相談ください。


5. なぜリハビリと組み合わせると再発しにくくなるのか?

テニス肘・ゴルフ肘は「腱を使いすぎる動作のクセ」が原因の根本にあります。注射で腱の修復が進んでも、同じ使い方を続ければ再び腱に負担がかかります。当院では、PFC-FD療法と国家資格を持つスタッフによる1対1のマンツーマンリハビリを組み合わせ、痛みの改善と再発予防の両方に取り組みます。

「注射だけ」と「注射+リハビリ」の違い

  • 注射だけ:腱の修復は進むが、手首の使い方や前腕の筋肉の硬さが残り、同じ動作で再発しやすい
  • 注射+リハビリ:腱の修復に加えて、前腕のストレッチ・段階的な筋力訓練・動作の指導で腱にかかる負担そのものを減らし、再発しにくい状態を目指せる

マンツーマンリハビリで取り組むこと

  • 前腕の筋肉(手首を反らす筋・曲げる筋)のストレッチ
  • 腱への負担を減らす段階的な筋力訓練
  • 物の持ち方・パソコン作業の姿勢・スポーツ動作のチェックと修正
  • 自宅でできるセルフケアの指導

6. PFC-FD療法はどのように進むのか?帝都メディカルクリニックでの治療の流れ

① 問診・診察

痛みが出る動作、発症からの期間、これまでに受けた治療(湿布・注射など)を詳しくお伺いし、誘発テストで痛みの再現を確認します。

② 画像検査

レントゲンで骨の異常や石灰化の有無を確認します。必要に応じて超音波(エコー)で腱の状態を確認します。

③ 治療方針のご相談・費用のご説明

PFC-FD療法の適応があるかを判断し、費用・回数・リハビリの併用について説明します。PFC-FD療法は保険適用外の自費診療です。納得いただいた上で治療を進めます。

④ 採血

約50ml(ヤクルト1本程度)の血液を採取します。採取した血液は専門の加工施設に送られ、感染症検査を経てPFC-FDが作製されます。作製には約3週間かかります。

⑤ 注射

PFC-FDが届いたら再度ご来院いただき、痛みのある腱の付け根に注射します。注射自体は5〜10分程度で、入院は不要です。当日は激しい運動や長時間の入浴を避け、翌日からは通常の生活に戻れます。

⑥ リハビリ・経過観察

注射後は効果を高めるためにリハビリを併用し、痛みの経過を見ながら段階的に日常動作やスポーツへ復帰していきます。


7. こんな症状はすぐに受診を(緊急サイン)

以下のような症状がある場合は、テニス肘・ゴルフ肘以外の病気やけがが隠れている可能性があり、早めの受診が必要です。

  • 転倒や強い衝撃のあとに肘が急に痛くなり、動かせない・変形している
  • 肘が赤く腫れて熱を持ち、発熱を伴っている
  • 薬指・小指のしびれや、手の力が入りにくい状態が続いている
  • 肘が完全に伸びない、または曲がらない
  • 安静にしていても痛みが増していく

これらは骨折・関節の感染・神経の障害などの可能性があります。「様子を見る」ではなく、早めに医療機関を受診してください。


よくある質問(FAQ)

Q. テニスもゴルフもしていないのに、テニス肘・ゴルフ肘になりますか?

なります。実際には、家事・育児・パソコン作業・工具を使う仕事など、手首を繰り返し使う動作が原因になる方が大半です。病名はスポーツで有名になった経緯から付いているだけで、スポーツ歴とは関係なく発症します。

Q. テニス肘とゴルフ肘はどう見分けますか?

痛む場所で区別します。肘の外側の骨の出っ張りが痛めばテニス肘(外側上顆炎)、内側が痛めばゴルフ肘(内側上顆炎)です。診察では、手首を反らす・曲げる方向に抵抗をかけて痛みの再現を確認します。

Q. PFC-FD療法は何回受ける必要がありますか?

多くの場合は1回の注射で経過をみます。効果の現れ方には個人差があるため、数ヶ月の経過をみて医師と相談しながら追加の要否を判断します。

Q. PFC-FD療法の費用はいくらですか?保険は使えますか?

PFC-FD療法は保険適用外の自費診療です。費用は治療前に診察の上で詳しくご説明します。医療費控除の対象になりますので、領収書は保管しておいてください。

Q. 注射のあと、仕事や運動はいつから再開できますか?

注射当日は激しい運動や長時間の入浴を避けていただきますが、翌日からは通常の生活に戻れます。手首に負担の大きい作業やスポーツへの本格復帰は、痛みの経過とリハビリの進み具合をみながら医師と相談して決めます。

Q. ステロイド注射をすでに何回か受けています。PFC-FD療法は受けられますか?

受けられる場合が多いですが、直前にステロイド注射を受けていると成長因子の働きに影響する可能性があるため、一定の間隔を空けることがあります。これまでの注射の時期と回数を診察時にお伝えください。

Q. 手術が必要になることはありますか?

テニス肘・ゴルフ肘で手術が必要になるのはごく一部で、保存療法を半年から1年続けても改善しない難治例に限られます。当院ではまずPFC-FD療法とリハビリを組み合わせた保存療法で改善を目指し、手術が必要と判断した場合は連携する医療機関へご案内します。

Q. 自宅でできるケアはありますか?

手首を反らす筋肉・曲げる筋肉のストレッチ、痛みの出る動作の一時的な回避、エルボーバンドの使用が基本です。ただし痛みが1ヶ月以上続く場合は、自己流のケアを続けるより一度診察を受けることをおすすめします。

足立区・西新井エリアで長引く肘の痛みにお困りの方へ

帝都メディカルクリニックは、東武スカイツリーライン「西新井駅」より徒歩1分の場所にあります。足立区はもちろん、北千住・綾瀬・草加方面からも多くの患者さんにご来院いただいています。2026年4月からは肩肘専門外来も開設し、肘の疾患についてもより専門的な診療体制を整えています。

肩肘専門外来は、上田祐輔医師が毎月第3木曜の午後に担当しています。肘の痛みが長引く方や、手術が必要かどうかを知りたい方は、肩肘専門外来のご案内もあわせてご覧ください。

  • 所在地:東京都足立区西新井
  • アクセス:西新井駅 徒歩1分
  • 電話:03-3889-1371
  • 診療時間:診療時間内のお電話に加え、24時間Web予約をご利用いただけます

「湿布や注射を続けているのに肘の痛みが引かない」「物を持つたびに肘が痛む」とお困りの方は、我慢せず一度ご相談ください。腱の修復を促すPFC-FD療法とリハビリで、再発しにくい肘を目指します。


まとめ

テニス肘・ゴルフ肘は、手首を繰り返し使うことで肘の腱の付け根が傷む疾患で、スポーツをしていない方にも広く起こります。多くは保存療法で改善しますが、半年以上長引く場合は、炎症ではなく腱の修復不足が問題になっています。

帝都メディカルクリニックでは、藤田医師が、ご自身の血液から作るPFC-FD療法で腱の修復を促し、マンツーマンリハビリで腱にかかる負担そのものを減らす治療をご提案します。

長引く肘の痛みでお困りの方は、手術を考える前に、一度ご相談ください。

※本記事は一般的な医療情報を提供するものであり、診断・治療方針は患者さんの状態によって異なります。気になる症状がある方は、必ず担当医とご相談ください。