肩関節周囲炎は、いわゆる「四十肩」「五十肩」と呼ばれる疾患で、肩の関節包や腱板、周辺組織に炎症や拘縮が生じることで痛みや可動域の制限が起こります。

湿布や安静で様子を見る方も多いのですが、腕が上がらない、夜間に痛みが強くなるといった症状が数週間から数ヶ月続くケースも少なくありません。

そうした場合、選択肢のひとつとなるのが、神経ブロック注射やハイドロリリース注射などを組み合わせた注射治療です。この記事では、当院で行っている注射治療の種類とメリット、副作用や注意点について解説します。

結論:肩関節周囲炎の痛みには、神経ブロックやハイドロリリースなど複数の注射治療を組み合わせ、症状が落ち着いた段階でリハビリに移行する治療が選択肢になります。当院では患者さん一人ひとりの症状や生活背景を考慮し、医師が治療プランをオーダーメイドで提案します。
※本記事は一般的な医療情報を提供するものであり、診断・治療方針は患者さんの状態によって異なります。気になる症状がある方は、必ず担当医とご相談ください。

肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)とは?なぜ痛みが長引くのか

肩関節周囲炎とは、肩の関節包や腱板、さらに周辺の組織に炎症や拘縮が生じることで、痛みや可動域の制限が起こる疾患です。

一般的には「四十肩」「五十肩」とも呼ばれ、中高年を中心に多く見られます。

痛みが出始めると腕を上げづらくなる、後ろに回すのがつらいといった症状が日常生活に大きな支障を及ぼします。特に夜間痛に悩まされる方も多く、睡眠不足やストレスを引き起こすケースも少なくありません。

こんな症状はありませんか

  • 腕を上げようとすると肩に痛みが走る
  • 髪をとかす、服を着替えるなど、腕を後ろや上に回す動作がつらい
  • 夜、痛みで目が覚める(夜間痛)
  • 肩を動かさない状態が続き、可動域が狭くなってきた
  • 数週間から数ヶ月、痛みが治まらない

肩関節周囲炎そのものの症状や進行については、【四十肩・五十肩】肩関節周囲炎とは?もあわせてご覧ください。

湿布や安静だけで改善しないのはなぜ?

(1) 痛みのメカニズム

肩関節は身体の中でも可動域が広く、複雑な構造をしています。そのため、一部に炎症が起こると他の組織へ波及しやすい特徴があります。

また、痛みをかばって肩を動かさない期間が長くなると、関節包や筋肉が硬くなり、さらに動かしづらい状況が進行しやすくなります。

この悪循環が、肩関節周囲炎の痛みが長引く背景にあります。

(2) ペインクリニックでの治療方針

肩関節周囲炎の治療は、痛みの強さや炎症の度合いによって異なります。

ペインクリニックでは「痛みをコントロールしながら可動域を取り戻す」ことを目標とし、薬物療法やブロック注射、リハビリテーションなどを組み合わせて総合的にアプローチします。

症状の原因や経過を見極めつつ、患者さんの生活スタイルや仕事の状況に合わせた治療計画を立てるのが特徴です。

肩関節周囲炎の注射治療にはどんな種類があるのか?〜5つの選択肢

ここからは、肩関節周囲炎の症状が強いとき、あるいは可動域を向上させたいときに検討される「注射治療」をご紹介します。

当院では、神経ブロック注射や肩峰下滑液包リリース注射、ハイドロリリース注射、ステロイド注射、ヒアルロン酸注射など、幅広い注射療法を組み合わせながら、患者さん一人ひとりの症状や生活背景を考慮し、医師が最適な治療プランをオーダーメイドで提案いたします。

神経ブロック注射

痛みの伝達経路を遮断

  • 肩甲上神経ブロック、腋窩神経ブロック、腕神経叢ブロック、神経根ブロックなどを駆使し、痛みを脳へ伝える経路を一時的にブロックします
  • 強い痛みが続いている場合に有効で、筋肉の緊張緩和にもつながります

ペインクリニックならではの精度

  • エコーやX線透視装置を用いて正確な位置に注射を行います
  • 痛みが和らぐことでリハビリや日常生活動作の改善も進めやすくなります

肩峰下滑液包リリース注射

SAB(Subacromial Bursa)をリリース

  • 肩峰下滑液包に炎症が生じると、急性期の可動域制限や慢性的な拘縮を引き起こします
  • エコーガイド下で滑液包を剥がすように注射を行い、拘縮や癒着を解消して可動域の回復を目指します

急性・慢性の両面に有効

  • 急性期においては痛みと動きの制限を緩和し、慢性期では固まった組織のリリース効果が期待できます

ハイドロリリース注射

軟部組織の癒着を水圧で剥がす

  • 肩峰下滑液包に限らず、腱板やファシア(筋膜)などの軟部組織が癒着・拘縮している部分を水圧でリリースします
  • 痛みの原因となる組織同士の癒着を取り除き、動きを滑らかにします

幅広い適応範囲

  • 肩以外にも首や腰などのトラブルに応用されることがあり、複数の部位に痛みを抱える方にも有効な場合があります

ステロイド注射

強力な抗炎症作用

  • 炎症を起こしている患部へ直接ステロイドを届けるため、痛みが早期に軽減されやすい治療法です
  • 急性期の強い痛みを短期間で抑え、リハビリへの移行を促進します

全身への影響が比較的少ない

  • 経口薬よりも局所投与のため、副作用の範囲が限られます
  • ただし多用すると腱が弱くなるリスクなどがあるため注意が必要です

ヒアルロン酸注射

関節の潤滑油としての働き

  • 関節内の滑液を補うことで、肩の可動域をスムーズにします
  • 炎症を緩和し、痛みの原因となる摩擦を軽減します

長期的なケアに向いている

  • ステロイドと比べると即効性はやや低いものの、副作用が少なく繰り返し注射しやすい治療法です
  • 痛みが落ち着いた状態を維持しながらリハビリを続けやすくなります

5つの注射治療の比較

治療法 主な目的 特徴
神経ブロック注射 痛みの伝達経路の遮断 強い痛みに即効性、筋緊張の緩和にも
肩峰下滑液包リリース注射 滑液包の炎症・癒着の解消 急性期・慢性期どちらにも対応
ハイドロリリース注射 軟部組織の癒着を水圧で剥離 肩以外の部位にも応用可能
ステロイド注射 強力な抗炎症 即効性が高いが多用は注意が必要
ヒアルロン酸注射 関節の潤滑 副作用が少なく繰り返しやすい

電話 03-3889-1371
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なぜ注射治療だけでなくリハビリも必要なのか?

注射治療は痛みを抑えることに優れていますが、注射だけで終えてしまうと、拘縮が残ったまま可動域が戻りきらないケースがあります。

注射治療だけの場合注射治療+リハビリを組み合わせた場合では、可動域の戻り方に差が出やすいことが分かっています。注射で痛みを抑えても、肩を動かさない期間が続けば関節包や筋肉は再び硬くなりやすいためです。

痛みが落ち着いたタイミングでリハビリを取り入れることで、拘縮の予防と可動域の回復を同時に進められます。

治療効果を高めるためのポイント

適切なリハビリの導入

  • 痛みが和らいだタイミングで、肩周囲のストレッチや筋力トレーニングを行います
  • 拘縮を防ぐためにも、無理のない範囲で日々少しずつ動かすことが大切です

生活習慣の見直し

  • デスクワークでは1時間に一度は軽く肩を回すなど姿勢を変えます
  • 肩を冷やさないよう心がけ、血行促進に努めます

定期的な受診と状態確認

  • 治療効果や可動域の変化を医師がチェックし、必要に応じて別の注射法やリハビリメニューを提案します
  • 痛みが長引くほど回復が遅れる可能性があるため、早期相談が望ましいです

専門的な運動指導を受けたい方は、国家資格者によるマンツーマンリハビリもご検討ください。

注射治療にはどんな副作用があるのか?

本記事では注射治療の種類を中心に紹介してきましたが、下記のような副作用やリスクも考慮する必要があります。

共通リスク

  • 注射部位の感染や内出血のリスクがあります(針を使うためゼロにはなりません)
  • 施術直後に軽い痛みや腫れが出る場合があります

神経ブロック注射

  • 一時的なしびれや脱力感が出ることがあります

肩峰下滑液包リリース・ハイドロリリース

  • 手技に伴う一時的な違和感や軽度の炎症反応が出ることがあります

ステロイド注射

  • 血糖値の上昇や腱の脆弱化がまれに問題となります

ヒアルロン酸注射

  • アレルギー反応はごくまれですが、注射部位の腫れや痛みが一時的に起こる場合があります

こんな症状はすぐに受診を(緊急サイン)

肩関節周囲炎の痛みの多くは、注射治療とリハビリで経過をみていけます。ただし中には、他の病気が隠れているケースもあります。

以下のような症状がある場合は、自己判断せず早めに受診してください。

  • 強い外傷(転倒・衝突など)の後に急に腕が上がらなくなった
  • 肩の痛みとあわせて高熱が出ている
  • 安静にしていても痛みが強まる一方で、腫れや熱感が明らかに強い
  • 腕にしびれや脱力が急速に進んでいる
  • 痛みが数ヶ月経っても全く改善しない

該当する症状がある方は、その日のうちに受診してください。肩関節周囲炎以外の病気(腱板断裂、感染性関節炎など)が隠れている可能性があります。

夜間の痛みについては、夜中に肩が痛くて目が覚める場合の対処法もあわせてご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 注射は痛いですか?

細い針を使用し、エコーガイド下で正確な位置に注射するため、痛みは最小限に抑えられます。個人差はありますが、多くの方が「思ったより痛くなかった」とおっしゃいます。

Q. 注射治療は保険適用されますか?

神経ブロック注射やステロイド注射など、多くの注射治療は保険適用の対象です。詳しくは診察時にご確認ください。

Q. 注射は何回くらい受ければよいですか?

症状の程度によって異なります。経過を見ながら医師が回数やペースをご提案します。1回で終わる場合もあれば、複数回にわたることもあります。

Q. 四十肩と五十肩は何が違いますか?

どちらも医学的には同じ「肩関節周囲炎」を指し、発症する年代によって呼び方が変わるだけです。症状や治療法に大きな違いはありません。

Q. 放置するとどうなりますか?

痛みをかばって肩を動かさない期間が長引くと、関節包や筋肉が硬くなり、可動域の制限がさらに進行する場合があります。早めのご相談をおすすめします。

Q. リハビリはいつから始められますか?

痛みの強い急性期はまず注射で炎症を抑えます。痛みが落ち着いてきた段階で、医師の判断のもとリハビリに移行します。

Q. 注射治療をすれば必ず治りますか?

症状や経過には個人差があり、必ず治ることをお約束するものではありません。医師が経過を見ながら、患者さんに合った治療計画をご提案します。

Q. ヒアルロン酸注射とステロイド注射はどちらがよいですか?

即効性を重視するか、繰り返しやすさを重視するかなど、症状や生活スタイルによって適した注射は異なります。診察の上でご提案します。

足立区・西新井で肩関節周囲炎の注射治療をお考えの方へ

帝都メディカルクリニックは、東武スカイツリーライン「西新井駅」より徒歩1分の場所にあります。足立区はもちろん、北千住・綾瀬・草加方面からも多くの患者さんにご来院いただいています。

  • 所在地:東京都足立区西新井
  • アクセス:西新井駅 徒歩1分
  • 電話:03-3889-1371
  • 診療時間:診療時間内のお電話に加え、24時間Web予約をご利用いただけます

「痛みが続いてつらい」「夜間痛を少しでも和らげたい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。デスクワークで肩の痛みにお悩みの方は、仕事中の肩の痛み:医師が解説する原因と対処法もあわせてご覧ください。

電話 03-3889-1371
24時間Web予約はこちら

まとめ

肩関節周囲炎は、本人にしか分からないつらい痛みが長期化しやすい疾患です。適切な注射治療を行い、症状が落ち着いた段階でリハビリをしっかり取り入れることで、日常生活への負担は大きく軽減されます。

ペインクリニックでは、神経ブロックや肩峰下滑液包リリース注射、ハイドロリリース注射、ステロイド注射、ヒアルロン酸注射など、多彩な注射治療を組み合わせながら、患者さんの症状や生活背景に合わせて安全性と効果を両立する最適な治療計画を個別にご提案しています。

放置して悪化する前に、早めの対応が回復への近道です。自分に合った治療法を見つけ、再び肩を楽に動かせる日常を取り戻しましょう。

関連記事として、【四十肩・五十肩】肩関節周囲炎とは?五十肩(肩関節周囲炎)で眠れない:原因と自宅でできる効果的な対処法国家資格者によるマンツーマンリハビリもあわせてご覧ください。

一般的な情報としては、日本整形外科学会の肩関節周囲炎解説も参考になります。

※本記事は一般的な医療情報を提供するものであり、診断・治療方針は患者さんの状態によって異なります。気になる症状がある方は、必ず担当医とご相談ください。