帯状疱疹を知るには、初期症状と皮疹期の2つの時期があることを知っておくと理解しやすいです。
初期症状と皮疹期
初期症状には、突然の発熱や頭痛、全身のだるさが現れることがあります。
さらに、しびれや痛み、痒(かゆ)み、ヒリヒリとした感覚も感じることがあります。これらは、帯状疱疹ウイルスが神経組織に感染し、神経痛を引き起こすためと言われています。また、皮膚の赤みや発疹、水疱が現れる部位のかゆみも初期症状のひとつです。
- 突然の発熱や頭痛、全身のだるさ
- しびれや痛み、痒み、ヒリヒリとした感覚
- 皮膚の赤みや発疹、水疱が現れる部位のかゆみ
皮疹期には、皮膚に沿って帯状疱疹の発疹が現れます。
これは多くの場合、胸や腰、腹部などの一側に見られます。この期間中、皮膚には小さな水疱が密集し、赤く腫れ上がり、痛みが強くなります。
このような状態の時に、「水疱を破る」という行為はしないようにしてください。潰瘍や瘢痕となることもあります。
- 皮膚に沿って帯状疱疹の発疹が現れる(多くは胸や腰、腹部などの一側)
- 小さな水疱が密集している
- 皮膚が赤く腫れ、痛みが強くなる
- 水疱が破れて潰瘍となる場合がある
帯状疱疹の症状は、人によって異なる場合があり、年齢や免疫状態によっても症状の程度が異なります。
皮疹期に痛みやかゆみが強くなることもあり、合併症として帯状疱疹後神経痛を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
帯状疱疹後神経痛の治療で用いられる薬剤について
帯状疱疹後神経痛の治療に使用される薬剤は、抗ウイルス薬、鎮痛薬、抗うつ薬、抗てんかん薬などがあります。これらの薬剤は、症状や患者の状態に応じて適切なものが選ばれます。
以下に、それぞれの薬剤の特徴と代表的な成分を説明します。
- 抗ウイルス薬: 帯状疱疹を引き起こすウイルスに効果がある薬剤で、アシクロビル、バラシクロビル、アメナミビルなどが含まれます。
- 鎮痛薬: 神経痛に効果がある薬剤で、トラマドール、オピオイド系薬剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、アセトアミノフェンが使用されることがあります。
- 抗うつ薬: 帯状疱疹後神経痛の痛みを緩和する目的で使用されることがあり、アミトリプチリン、デュロキセチンなどが代表的です。
- 抗てんかん薬: 神経痛に効果がある薬剤で、ガバペンチン、プレガバリン、ミロガバリンなどが含まれます。
治療効果や副作用に注意しながら、適切な薬剤選択が重要です。薬剤は必ず医師の指導の下で服用しましょう。
帯状疱疹後神経痛とその治療方法の概要
帯状疱疹後神経痛(PHN)は、帯状疱疹(herpes zoster)治癒後に継続する痛みやしびれなどの神経症状を指す後遺症です。日本では、60歳以上の人の約30%が帯状疱疹を発症し、60歳以上の患者で1年以内に約10%が帯状疱疹後神経痛を発症します。
帯状疱疹後神経痛の治療方法には、鎮痛剤の投与、抗てんかん薬や抗うつ薬の使用などがあります。
疼痛に対する神経ブロック療法やTENS(経皮電気神経刺激)といった物理療法も効果的です。
最近では、帯状疱疹予防のワクチンが開発され、日本では高齢者向けの接種が行われています。
ワクチン接種により、帯状疱疹の発症率が低下し、帯状疱疹後神経痛の発症率も減少すると期待されています。
帯状疱疹後神経痛のリスクファクターと対策
帯状疱疹後神経痛(PHN)のリスクファクターは以下の通りです。
- 年齢: 高齢者(特に60歳以上)で発生率が高い。
- 疼痛の強さ: 重度の帯状疱疹に伴う疼痛がある場合、帯状疱疹後神経痛リスクが上昇します。
- 帯状疱疹の場所: 顔、頭皮、目の周囲など神経に近い場所で発生すると、帯状疱疹後神経痛リスクが高まります。
- 免疫機能の低下: 免疫力が弱まっている人は、帯状疱疹後神経痛リスクが上昇します。
- 慢性疾患: 慢性病を抱える人は、帯状疱疹後神経痛リスクが高まります。
- ストレス: ストレスが帯状疱疹後神経痛の発症や悪化に関与することがあります。
これらのリスクファクターを持つ人は、帯状疱疹発症後に帯状疱疹後神経痛になる可能性が高いため、早期治療が重要です。
さらに、帯状疱疹ワクチン接種によって帯状疱疹の発症自体を予防できるため、リスクファクターを持つ人は接種を検討することが大切です。