階段を上るとき、膝に違和感を覚えたことはありませんか?

下りるときに、膝がガクガクしたり、痛みを感じたりすることはないでしょうか?

40代を迎えると、多くの女性が膝の不調を経験し始めます。この「階段の昇り降りが辛い」という症状は、実は変形性膝関節症の重要なサインかもしれません。

変形性膝関節症は、膝の軟骨が徐々にすり減っていく病気で、40代以降の女性に特に多く見られます。

初期段階で適切な対処をすることで、症状の進行を大幅に遅らせることができるのです。

なぜ40代女性に多いのか?

変形性膝関節症が40代女性に多い理由には、いくつかの要因が複雑に絡み合っています。

まず、更年期に向かう時期の女性ホルモン(エストロゲン)の減少が挙げられます。エストロゲンは軟骨の健康維持に重要な役割を果たしており、その減少は軟骨の質の低下につながります。

加えて、加齢に伴う筋力の低下も深刻です。特に太ももの前側にある大腿四頭筋は膝関節を支える重要な役割を担っており、この筋力が低下すると膝への負担が増加します。女性は男性に比べて元々筋肉量が少ないため、筋力低下の影響をより受けやすいのです。

初期症状を見逃さないために

変形性膝関節症の初期症状は、日常生活の中で「ちょっとした違和感」として現れることが多いです。

階段での症状

  • 階段を上るときより、下りるときの方が辛い
  • 手すりを使わないと不安を感じる
  • 膝に力が入らない感覚がある
  • 階段の途中で休憩したくなる

日常動作での症状

  • 朝起きたときに膝がこわばる(動き始めると楽になる)
  • 正座から立ち上がるのが辛い
  • 長時間座った後、立ち上がる際に膝が痛む
  • 歩き始めに違和感があるが、歩いているうちに楽になる

その他の症状

  • 膝の腫れぼったさを感じる
  • 天気が悪い日に膝が重だるい
  • 膝を曲げ伸ばしすると音がする
  • 夕方になると膝が疲れやすい

今すぐ始められる対処法

1. 膝に優しい動作を心がける

階段の昇り降りでは、手すりを積極的に使用しましょう。手すりを使うことで膝への負荷を30〜40%軽減できます。また、痛みのある膝を後に出すようにすることも効果的です(上りは健康な足から、下りは痛む足から)。

立ち座りの際は、膝より高めの椅子を選び、両手を膝に置いて支えながらゆっくりと動作することが大切です。

2. 適度な運動で筋力維持

大腿四頭筋トレーニング

椅子に座り、片足をゆっくり前に伸ばし、つま先を自分の方に向けて5秒キープ。
左右10回ずつ、1日2〜3セット行いましょう。

水中ウォーキング

水の浮力により膝への負担が軽減されます。
週2〜3回、30分程度が理想的です。プールがない場合は、お風呂での足踏みも効果的です。

3. 体重管理と温熱ケア

体重を1kg減らすだけで、膝への負担は3〜4kg軽減されます。食事は腹八分目を意識し、夕食後の軽い散歩を習慣化しましょう。

また、冷えは膝の痛みを悪化させるため、入浴時は38〜40度のお湯に15分以上浸かり、日中は膝サポーターやレッグウォーマーを活用することをおすすめします。

医療機関を受診すべきタイミング

以下のような症状が現れた場合は、早めに整形外科やペインクリニックを受診しましょう。

  • 膝の痛みが2週間以上続く
  • 痛みで夜眠れないことがある
  • 膝が腫れて熱を持っている
  • 歩行に支障をきたすほどの痛みがある

早期受診により、正確な診断と適切な治療を受けることができ、症状の進行を防ぐことができます。

まとめ

階段の昇り降りが辛いという症状は、体からの大切なメッセージです。変形性膝関節症は、適切な知識と日常的なケア、そして必要に応じた医療機関での治療により、症状の改善と進行の予防は十分可能です。

40代は人生の折り返し地点。今から膝のケアを始めることで、10年後、20年後も健康で活動的な生活を送ることができます。

症状が気になる場合は、一人で悩まず、当院受診時に気軽にご相談ください。