慢性腰痛は、発症から3か月以上続く痛みのことで、多くの患者さまが悩まされています。

この長引く痛みは、日常生活や仕事、さらには心の健康にも影響を及ぼし、患者さまの生活の質(QOL)を大幅に低下させる可能性があります。

かつては「年齢のせい」「治らない」と考えられてきた慢性腰痛ですが、最新の研究と医療技術の進歩により、その原因を特定し、効果的な治療を行うことが可能になりました。

東京のペインクリニックである当院の専門医は、慢性腰痛に伴う痛みを緩和し、患者さまのQOL向上を目指しています。

慢性腰痛の5つの主な原因

慢性腰痛の原因は大きく5つに分けられます。
  1. 一次性慢性疼痛(線維筋痛症など)
  2. がん性慢性疼痛(がんの転移や治療による痛み)
  3. 術後痛および外傷後慢性疼痛(手術後や事故後の痛み)
  4. 慢性神経障害性疼痛(神経の損傷による痛み)
  5. 慢性筋骨格系疼痛(筋肉や関節の損傷による痛み)

それぞれのカテゴリーは特定の病態や状況を示しているため、特徴を把握さえすれば、診断は可能であることが多いです。

一次性慢性疼痛(線維筋痛症など)

特定の病態や外傷が明確な原因となっていない疼痛で、複雑な神経メカニズムによって引き起こされます。

広汎性一次性慢性疼痛(線維筋痛症など)や局在性一次性慢性疼痛(非特異的腰痛など)がこれに該当します。

がん性慢性疼痛(がんの転移や治療による痛み)

がんそのものやその治療に関連する疼痛を指します。がん細胞の脊椎への転移、抗がん剤による神経障害、手術や放射線治療による疼痛などが含まれます。

これらの疼痛は病状や治療の進行に応じて変化することがあります。

術後痛および外傷後慢性疼痛(手術後や事故後の痛み) 

手術後に持続する疼痛(例:Failed Back Surgery Syndrome)や、外傷後に長期間続く疼痛(例:交通事故によるむち打ち)がこのカテゴリに含まれます。

これらの疼痛には適切なリハビリテーションや痛み管理が必要となる場合があります。

慢性神経障害性疼痛(神経の損傷による痛み)

神経が損傷した結果として発生する疼痛です。末梢神経障害性疼痛(椎間関節性腰痛など)や中枢神経障害性疼痛(脊柱管狭窄症、ヘルニアなど)が含まれます。

神経痛は他の疼痛とは異なり、鈍痛や焼けつくような痛み、電気が走るような痛みといった特徴的な症状を伴うことがあります。

慢性筋骨格系疼痛(筋肉や関節の損傷による痛み)

筋肉、骨、関節、腱などの損傷や疾患が原因となる疼痛です。長期にわたる炎症や骨や関節の構造的な変化(変形性脊椎症など)による慢性疼痛、筋肉の過度な緊張や弱化(筋筋膜性腰痛症など)による非特異性慢性疼痛が含まれます。

これらの疼痛は日常生活の動きや姿勢、ストレスなどによって増減することがあります。

慢性腰痛の治療

慢性腰痛の治療には主に3つの方法があります。それは、薬物療法、リハビリテーション、そしてブロック療法です。

これらの治療法は一部の患者に対して単独で用いられることもありますが、しばしばこれらを組み合わせた多角的なアプローチが効果的であることが証明されています。

薬物療法

薬物療法では、痛みの種類と程度により、適切な薬物が選択されます。消炎鎮痛剤、オピオイド、抗うつ薬、抗てんかん薬など、それぞれの薬物は特定の疼痛メカニズムに対して作用し、痛みを管理するのに役立ちます。ただし、薬物療法は痛みを緩和する手段であり、根本的な問題を解決するものではありません。そのため、可能な限り原因対策を行うことが重要です。

リハビリテーション

リハビリテーションは、筋力トレーニングやストレッチなどを通じて体幹部の筋肉を強化し、筋緊張を和らげることを目指します。これにより、体のバランスを整え、再発防止に役立つとともに、痛みを緩和する効果があります。

また、筋肉の柔軟性を高め、筋肉量を増加させることで痛みを緩和することができます。日常生活での正しい姿勢や動作の指導も、リハビリテーションの重要な要素です。

ブロック療法

特定の原因が見つからない腰痛、あるいは筋肉や筋膜(筋肉を覆っている薄い膜)に起因する腰痛を経験しているなら、トリガーポイント注射という治療法が助けになるかもしれません。

トリガーポイントとは、筋肉の中に存在する固くなった部分のことを指します。これらの部分はしばしば押すと痛むもので、痛みを感じている箇所と一致することがあります。

治療では、医師が患者様の痛みの箇所を触診し、固くなった筋肉に注射をします。この注射は、筋肉と筋膜の間に細い針を挿入し、特別な薬を注入することで、痛みを和らげる効果があります。

一方、もし腰痛が神経の問題から来ていると考えられる場合(例えば、脊柱の関節が原因の腰痛、脊柱管が狭くなる病気、ヘルニアなど)、硬膜外ブロックという治療法が選択されることがあります。

この治療では、圧迫されて過敏に反応している神経に対して、特別な麻酔薬を使ってその活動を抑えます。また、痛みを引き起こす物質を洗い流す効果もあり、新たな痛みの発生を防ぎます。ただし、硬膜外ブロックは神経の問題自体を治すものではなく、痛みを和らげる助けとなる治療法です。

当院の特徴:慢性腰痛治療へのアプローチ

当院では、慢性腰痛治療において以下のような特徴的なアプローチを取っています:

  1. 最先端の知識と技術を駆使した個別化治療
  2. 痛みの原因を突き止め、最適な治療法を提案
  3. 日常生活の質向上を目指した包括的アプローチ
  4. 医師との密なコミュニケーションによる自己管理法の指導
  5. 専門家によるプロフェッショナルな医療の提供

これらのアプローチにより、単に痛みを抑えるだけでなく、患者さまが自由に日常生活を送れるよう支援します。

また、医師とリハビリテーションスタッフの対話を通じて、患者さまご自身で痛みをコントロールする方法を学んでいただきます。

まとめ:慢性腰痛に悩む方へ

慢性腰痛は、3か月以上続く痛みによって生活全体に影響を及ぼす可能性があります。当院では、単に痛みを緩和するだけでなく、患者さまの生活の質(QOL)の向上を目指しています。

痛みを自分でコントロールし、日常生活を自由に楽しむことができるよう、専門的なサポートを提供します。慢性腰痛でお悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。一緒に、痛みという壁を乗り越え、より健康で充実した生活を送るための一歩を踏み出しましょう。

何かお困り事があるようでしたら、診察時にお気軽にご相談ください。