非観血的肩関節授動術について

非観血的肩関節授動術は、肩の痛みと運動制限を引き起こす肩関節周囲炎に対する有効な治療法です。

この手術は肩関節の柔軟性を取り戻し、痛みを軽減するためのものです。

手術の効果

この方法は、癒着を直接取り除くため、他の治療法に比べて顕著な鎮痛効果と可動範囲の向上が見込まれます。最適な候補者は、肩関節の運動制限が顕著で、慢性期〜回復期にある患者です。

手術では、肩のかんかくを司る根本(第5頚髄神経根)に局所麻酔を注入して、医師が肩関節を動かし、形成された癒着を剥離する方法をとります。

手術手順の流れ

  1. 外来ベッドで行われます。患者様には横向きになっていただき、超音波ガイドによる神経根ブロックを行います。
  2. 非常に細い針を使用し、ブロックの実施後、約15分で麻酔効果が現れます。
  3. 医師が患者様の状態を確認し、適切な方向に肩関節を動かしながら癒着を剥がしていきます。
  4. 任意の時点で痛みがあれば、追加のブロックを要求することができます。
  5. 剥離が完了すると、肩関節内にステロイドを注入して炎症を抑え、手術は終了します。
  6. 家でのリハビリテーションが指導され、その後の外来リハビリテーション(数回程度)が計画されます。

合併症について

非観血的肩関節授動術は比較的安全ですが、軽微な合併症としていくつかあります。

  • 出血:針の刺入部からの軽度の出血。
  • 皮下出血/あざ:施術箇所における小さなあざや皮下出血。
  • アレルギー反応:消毒薬による皮膚の発赤。
  • 施術中の痛み:手術中に感じる可能性のある軽い痛み。

重篤な合併症

  • 局所麻酔中毒:10,000例に1.2〜11例の発生率。
  • 血管内注入:麻酔薬が血管に注入されること。
  • 横隔神経ブロック:意図しない横隔膜の麻酔。
  • 星状神経節ブロック:誤って星状神経節に影響を及ぼす麻酔。
  • 脆弱性骨折:施術により起こる可能性のある骨折。

注意事項

  • 骨粗鬆症の患者には非推奨:骨粗鬆症の方には、骨が脆弱であるため非観血的肩関節授動術は行いません。
  • 自宅での異常には注意:退院後、何か異常を感じた場合はすぐに病院に連絡するようにしてください。

よくある質問

Q:神経根ブロックはすごく痛そうですけど大丈夫でしょうか?
A:針は細いものを用意しておりますので、激痛ではありません。医師や看護師が優しく声をかけながら注射を進めていきます。

Q:初診でもやってもらえるの?
A:禁忌がなければ施術は可能ですが、合併症を避けるため適応は慎重に決める必要があります。一度病状や原因を精査して、他の治療法を検討してから、施術するかを決めていけたらと思います。

Q:血液サラサラの薬を飲んでるけど、神経根ブロックはできる?
A:深部の神経ブロックになるため、申し訳ありませんがご提供できません。そのため、非観血的肩関節授動術自体をご提供することができません。