『夜中の2時、3時に肩の痛みで目が覚める』
『痛くて寝返りも打てない。どちら向きに寝ても辛い』
『昼間はなんとか過ごせるのに、夜になると急に痛みが増す』
このような「夜間痛」で悩んでいる方は、実は非常に多くいます。「昼間は動かせているし、大したことないだろう」と思って放置してしまいがちですが、この夜間痛こそ、肩が「早く診てほしい」と発しているサインです。
この記事では、夜中に肩が痛くなるメカニズムと、放置した場合のリスク、そして当院での治療アプローチについて解説します。
1. 夜になると肩が痛くなる——その理由
昼間は動かせているのに、夜だけ強く痛む。この不思議な現象には、いくつかの理由があります。
重力から解放されると、かえって痛む
日中は腕の重さが下向きにかかることで、肩関節には一定の「牽引力」が生じています。ところが、横になると重力の方向が変わり、炎症が起きている組織への圧迫や血流の変化が生まれます。これが夜間に痛みを感じやすい一因です。
副腎皮質ホルモンが夜間に減少する
炎症を抑える働きをする副腎皮質ホルモン(コルチゾール)は、睡眠中の深夜〜早朝にかけて分泌量が低下します。そのため、昼間は自然に抑えられていた炎症による痛みが、夜間に感じやすくなります。
注意が向きやすい環境になる
日中は仕事や家事に意識が向いているため、ある程度の痛みは気になりにくいものです。しかし、静かになる就寝時は痛みの感覚が敏感になり、昼間なら気にならないレベルの痛みでも強く感じることがあります。
2. 夜間痛の主な原因——五十肩(肩関節周囲炎)が最多
夜間痛を引き起こす疾患はいくつかありますが、40〜60代に最も多いのが五十肩(肩関節周囲炎)です。
五十肩は、肩関節を包む「関節包」やその周囲の組織に炎症が生じる疾患です。特に炎症期(発症初期〜数ヶ月)では夜間痛が強く出やすく、「布団に入るのが憂鬱」「何時間も眠れない夜が続いている」というケースも珍しくありません。
その他、夜間痛の原因として考えられるのは:
- 腱板損傷(肩の腱が傷んでいる状態)
- 石灰沈着性腱炎(腱にカルシウムが沈着し、急性の激痛を起こす)
- 変形性肩関節症(軟骨の摩耗による慢性的な痛み)
いずれも、画像検査(レントゲン・超音波)で区別することが可能です。自己判断は難しいため、夜間痛が続く場合は専門医への相談をお勧めします。
3. 「そのうち治るだろう」——放置するとどうなるか
五十肩は「自然に治る」と聞いたことがある方もいるかもしれません。確かに、時間をかければ症状が落ち着くケースもあります。しかし、放置によって次のようなリスクが生じます。詳しくは五十肩、自然に治るのを待っていい?もあわせてご覧ください。
① 炎症が長引き、慢性化する
適切な治療を受けずに放置すると、炎症が長期化します。最初は「炎症期」だった状態が「拘縮期(こうしゅくき)」へ移行し、関節そのものが固まってしまいます。この段階になると、痛みの緩和だけでなく、失われた可動域を取り戻すためのリハビリも必要になります。
② 睡眠不足が続き、体全体に影響が出る
夜間痛による睡眠障害は、疲労の蓄積・集中力の低下・気力の低下といった二次的な問題を引き起こします。痛みが「肩だけの問題」ではなくなってしまうのです。
③ 庇いグセが別の部位に負担をかける
痛みを庇うために姿勢や動き方が変わり、首・背中・反対側の肩に新たな痛みが出ることがあります。一か所の問題が、複数箇所の問題に発展するケースは少なくありません。
④ 腱板損傷の見逃し
夜間痛の中には、放置すると腱板(肩を支える腱)の損傷が進行するケースがあります。腱板の断裂が完全になってしまうと、手術が必要になる可能性もあります。夜間痛があるうちに、腱板の状態を確認しておくことが重要です。
4. 当院でのアプローチ——痛みを抑えながら、回復の土台を作る
帝都メディカルクリニックでは、夜間痛に悩む患者さんに対して、「まず痛みを取ること」を最優先に考えます。痛みがある状態では、リハビリも日常生活も思うようにいきません。
ペインクリニックによる注射治療
当院が特に力を入れているのが、ペインクリニック的アプローチによる注射治療です。
- 神経ブロック注射:痛みの信号を伝える神経に直接アプローチし、炎症による痛みを速やかに緩和します
- 関節内注射(ヒアルロン酸・ステロイド):関節内の炎症を直接抑え、動きやすさを回復させます
注射が怖い方もいらっしゃいますが、細い針を使用し、できる限り負担が少ない形で行います。「注射を受けたら、久しぶりにぐっすり眠れた」という患者さんも多くいらっしゃいます。
肩肘専門外来(2026年4月〜)
帝都メディカルクリニックでは、2026年4月より肩肘専門外来を開設しました。肩・肘の疾患に特化した専門医が、より詳しい評価と治療を提供します。夜間痛でお悩みの方は、専門外来へのご相談もご検討ください。
5. こんな状態になったら、早めに受診を
以下のいずれかに当てはまる場合は、放置せず早めにご来院ください。
- 夜間痛で週に3回以上目が覚める
- 2週間以上、夜間の痛みが続いている
- 腕が上がらない、後ろに回せないなど、動きの制限も出てきた
- 市販の痛み止めを飲んでも効きが悪い
- 突然、激しい痛みが起きた(石灰沈着性腱炎の可能性)
「様子を見ていたら悪化した」というケースは多く見られます。早期に対処することで、回復にかかる期間を大幅に短縮できます。
よくある質問(FAQ)
Q. 夜間痛は五十肩以外でも起こりますか?
はい、腱板損傷・石灰沈着性腱炎・変形性肩関節症などでも夜間痛は生じます。症状だけでは区別が難しいため、レントゲンや超音波検査による正確な診断が重要です。
Q. 五十肩は放置しても自然に治りますか?
時間をかければ症状が落ち着くケースもありますが、1〜3年かかることもあります。その間の夜間痛による睡眠障害や、関節の拘縮(固まり)を防ぐためにも、早期の治療介入をお勧めします。
Q. 注射は何回くらい受ければ効果が出ますか?
個人差がありますが、1〜3回の注射で夜間痛が大幅に軽減するケースが多いです。注射の効果を見ながら、次のステップ(リハビリ等)を医師と相談して決めていきます。
Q. 夜間痛がある時、どんな姿勢で寝るといいですか?
痛い側の肩を上にして横向きに寝るか、仰向けで患側の腕の下に薄いクッションを置いて少し挙上した姿勢が楽になる場合があります。ただし、個人差があるため、受診の際に医師に相談することをお勧めします。
Q. 昼間はそれほど痛くないのに受診してもいいですか?
はい、ぜひご相談ください。夜間痛は炎症の活動性が高いサインであり、早めの介入が回復を早めます。「昼間は動けるから大丈夫」と思わず、夜の痛みを正直にお伝えください。
最後に
夜間痛は、肩が「助けを求めている」サインです。「寝られない夜」が続いているなら、それは放置していい状態ではありません。
当院では、痛みの原因を正確に評価し、注射治療を中心としたペインクリニックのアプローチで、できるだけ早く「ぐっすり眠れる夜」を取り戻すお手伝いをします。2026年4月からは肩肘専門外来も開設しており、肩の専門的な診療体制がさらに充実しました。
夜中の肩の痛みでお困りの方は、西新井駅徒歩1分の帝都メディカルクリニックへお気軽にご相談ください。